2017年3月10日金曜日

夢をあきらめない強い女性

3月8日、ジョージアでは国際女性デーを祝います。この日にちなみ、あるジョージア人女性タマル・クヴェラシヴィリさんをご紹介したいと思います。現在38歳のタマルさんは、昨年「ニチエリ」(ნიჭიერი)というジョージアの公開オーディション番組に参加し、有名になりました。

この番組はイギリスの「ゴット・タレント」という番組と同じもので、年齢・肩書を問わず誰でも参加できます。タマルさんはこの番組でオペラのアリアを歌い、優れたパフォーマンスで審査員と観客の注目を集めました。

以前、タマルさんは首都トビリシでグラフィックデザイナーの仕事をしながら、一人で娘を育てていました。その後、結婚し、男の子が生まれました。夫は息子が誕生する前に出稼ぎに外国に行ったきり戻ってきませんでした。生まれた赤ちゃんは元気そうでしたが、生後20日目ごろから繰り返してんかんを起こし、ウエスト症候群と診断されました。治療を受けさせましたが、赤ちゃんは体を動かせないばかりか、耳も聞こえず、目も見えませんでした。医者はこれ以上良くならないと言いました。しかし、タマルさんは息子の体の状態を少しでも良くするため田舎に引っ越すことを決心しました。田舎の静かな環境やきれいな空気、新鮮な食べ物を求めて、東ジョージアのカヘティ地方の田舎に古い家を買い、自分で改装し、そこに二人の子供と一緒に移り住みました。

タマルさんは子育てをしながら村の人々にパソコンと英語を教えました。ある日インターネットで息子の病気のことを調べていたとき、このような患者にはクラシック音楽が良いらしいと知りました。それからというものタマルさんは息子に小さな音で少しずつクラシック音楽を聞かせました。さらに自分でも声を出し、歌い始めました。今では一日に何度も歌を聞かせています。現在、息子は38か月で、歌に反応し声を出します。目は完全に見えるようになりました。まだ歩けませんが、手足は動かせます。将来は歩くことも、話すこともできるようになるとタマルさんは夢見ています。

ジョージアでは、タマルさんは夢をあきらめない、強い女性のシンボルとなり、重い病気を持つ子供の母親たちの励みになりました。
タマル・クヴェラシヴィリ
タマルさんの子供たち10歳のニノちゃんと3歳のダヴィティちゃん


2017年3月3日金曜日

グルジア語の「母」

3月3日はジョージアでは「母の日」です。それで今日はジョージア語の「母」という言葉について書こうと思います。

ジョージア語では「母」は 「デダ」(დედა)と言います。しかし「デダ」は単純に「母」の意味を表わす以外にもいくつかの使い方があります。

ジョージア人は困ったとき、びっくりしたとき、うれしい時、痛みを感じたとき、怖い時などに「デダ!」と言います。まるでお母さんを呼んで、この感情を一緒に乗り越えたいかのようです。お母さんがそばにいなくても、生きていなくても、子供から老人まで無意識にこの魔法の言葉「デダ」を間投詞として使います。

もう一つの使い方として、お母さんが自分の子供を「デダ」と呼ぶこともあります。これはお母さんが子供を呼ぶときの最も愛情のこもった呼び方です。ジョージア人は年上の女性に「デダ」と言われたら、その人から自分の子供のように優しく扱われているように感じるものです。

いい時だけではなく、怒って悪口を言うときもジョージア人は「お前のデダ……」と言います。このような表現は特に男性が使います。ジョージア人はお母さんの悪口を言われると一番傷つくからです。

また、ジョージア語には「デダ」にほかの言葉をつけた熟語もあります。このとき「デダ」は「重要な」、「主な」というような内容を意味します。

デダミツァ(დედამიწა) 地球(ミツァ「土」)
デダカラキ(დედაქალაქი) 首都(カラキ「町」)
デダエナ(დედაენა) 母語(エナ「言葉」)
デダボヅィ(დედაბოძი) 主柱(ボヅィ「柱」

ジョージア人にとって「デダ」はとても親しく、重要で、何でもできる存在なのです。



私の4歳の息子が作ってくれたカードです。