2016年3月23日水曜日

ドキュメンタリー映画「私は国境を越えていない、国境が私を超えたのだ」

3月にプラハで行われたドキュメンタリー映画祭では、あるジョージアのドキュメンタリー映画の初上映がありました。この映画を作ったのは、近代ジョージア史に関するドキュメンタリー作品をつくっていることで知られるトマ・チャゲリシヴィリという人です。映画のタイトルは「私は国境を越えていない、国境が私を超えたのだ」(I Didn't Cross the Border: The Border Crossed Me)という興味をそそるものです。

トマ・チャゲリシヴィリはこの映画をつくるためにある村の生活を2年間にわたって撮影しました。この村は首都トビリシから40キロしか離れておらず、2008年のロシアとの戦争の時にロシアが占領した地域に接しています。ロシアは戦争が終わった後も境界線をジョージア側へずらしたので、この村の一部の畑、お墓、お祈りをする場所、村人何人かの家などが境界線の向こう側になってしまいました。映画にはこの困難な状況で暮らしている村人の生活が描かれています。

このドキュメンタリーはジョージアではまだ上映されていませんが、ニュースで流れた一つの短い場面では、村人が墓参りをしていました。村人は境界線のそばに集まって向こう側に住む知り合いを呼び出します。村人は持ってきたものを彼に渡し、それを墓に供えるよう頼みます。そして彼が墓地から戻ってくると、村人は食べものを広げ、彼にもワインを注ぎ、ジョージアの伝統に従って亡くなった人の魂のために境界線をはさんで一緒に飲みます。
トマ・チャゲリシヴィリ

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